問題設定:金融危機の市場間相関は妥当するのか

クリスティン・フォーブスとロベルト・リゴボンは、1987年の米国株式市場の暴落、1994年のメキシコのペソ崩壊、そして1997年の東アジア危機に伴う株式市場の「共運動(co-movements)」を観察することで、株式市場における「伝染(contagion)」の有無を分析している。彼らの観察は、株式市場における「伝染」を如何にして検証するのかという概念的な問題設定を前提としている。標準的な検証では、金融危機の期間における株式市場の収益の市場間相関(cross-market correlation)が増大するか否かが調査される。

ただし、この分析の中心となる市場間相関の尺度には偏りが生じている。未調整の相関係数は、検証期間に渡る市場の運動を条件としているために、株式市場の価格変動(volatility)が上昇する混乱の間は、市場間相関の標準的な推定値は上方に偏ることになる。この偏りを補正するためには、相関係数を調整しなければならない。

問題解決策:伝染と相互依存の区別

フォーブスとリゴボンは、上記の三つの金融危機を対象に、未調整の相関係数と調整済みの相関係数のそれぞれにおいて、伝染の有無を検証した。すると、未調整の相関係数では伝染が発生した証拠を発見できても、調整済みの相関係数では伝染の証拠が発見されなかったという。このことが意味するのは、これらの金融危機で観察された「共運動」では、もともとの市場間の強い関連が継続した帰結であるということである。言い換えれば、これら三つの金融危機では、「伝染」ではなく「相互依存(interdependence)」だけが発見されたのである。

フォーブスとリゴボンの批判的な検証は、金融市場の社会的な背景と「伝染」の概念的な分析を前提とした上で、従来の経済学的な方法論を棄却する帰結となっている。経済学者たちが開発していた株式市場全体の伝染を測定するための直接的な方法は、二つの株式市場の相関や共分散を指標として記述している。そのアプローチでは、歴史上の「平均」として測定される比較的安定した期間における各指標と、金融危機をはじめとしたショック体験を伴わせる混乱の期間における各指標とを比較することになる。そしてこの比較の観点から、「伝染」とは混乱の期間における市場間相関の著しい増大として定義される。

この方法によれば、例えばドイツとイタリアのように安定期に適度な市場間相関を示していたにも拘らず、一方の市場に加えられたショック効果が他方の市場へと波及したことで著しく「共運動」が派生した場合には、一連の運動が「伝染」を構成することになる。

これに対して、アメリカとカナダのように、二つの市場が伝統的に高い相関関係にある場合には、たとえ一方の市場に加えられたショック効果が他方の市場へと波及したとしても、もともと高い相関関係を示していた双方の「共運動」は「伝染」を指し示す訳ではない。伝染が発生せず、相関関係が相対的に増大しない場合の「共運動」は、「伝染」ではなく「相互依存」と呼ばれる。

したがって、伝染とは市場間の関連がショックの前後で根本的に変異することを意味する一方で、相互依存は市場間の関連に根本的な変異が無いことを意味する。つまり伝染と相互依存の差異は、金融市場そのものの状況が変異したか否かの差異に対応している。

問題解決策:伝染分析の機能

伝染と相互依存の区別は、投資戦略の重要な原則として観察されている。金融危機のような経済的な混乱は、国家によって異なる様相を呈している、と期待されている。つまり投資家たちは、異なる国の株式市場は比較的低い相関関係を示すはずであると、期待しているのである。

だからこそ国際的な投資の分散化は、ポートフォリオのリスクを大幅に減らすと共に、期待収益を高めると想定される。しかし、負のショック体験の直後に伝染が発生した場合、市場の相関性が国家の線引きとは独立して増加することにより、国際的な投資の分散化を支える合理性が損なわれることになる。

行動ファイナンス学派が登場して以来、投資家の行動モデルの多くは、負のショック体験の直後に各自で異なる反応を示すという仮定に基づいている。投資家個々人の行動が、安定期と危機的状況とで如何に変異し得るのかを理解することは、ショックが市場全体に如何にして伝達され得るのかを理解する上での鍵となる。

多くの国際機関や政策立案者たちは、実質的な関連を持たない二つの国家であっても、一方の国で生じた負のショックが他方の国の財政に悪影響を及ぼす可能性を懸念している。この影響が一時的なショックであったとしても、それは第二の金融危機を引き起こす可能性をもたらす。こうした伝染の可能性は、国際通貨基金(International Monetary Fund: IMF)における安定化資金への介入と大量の資金の献身の正統性を高めることになる。この前提に立った場合もまた、伝染の有無やそれが如何にして可能になっているのかを評価することが重要となる。

問題解決策:形式としての伝播

国際的なショックの伝播理論は、ショックの伝播を次の三つの機構に区別している。

  1. 複数の国の経済原則に影響を与えるショック。
  2. 他国の経済原則に影響を与える国固有のショック。
  3. 経済原則では説明されず、純粋な伝染として分類されるショック。

第一の機構は、複数の国々の経済原則に影響を与えるショックの機構である。それは、同時に複数の国々の経済原則に影響を与える総体的または世界的なショックに焦点を当てている。例えば、国債金利の上昇、国際資本供給の縮小、あるいは国際的な需要の減少は、同時に多くの国々の成長を遅延させる可能性を持つ。この総体的なショック効果を受けた国々の株式市場は、多かれ少なかれある程度は「共運動」するため、ショックが波及した直後は、影響を受けた国々の間の市場間相関が高まる可能性がある。

第二の機構は、他国の経済原則に影響を与える国固有のショックの機構だ。この機構は、ある国から他国へのショックの波及が如何にして可能になるのかを説明する機構である。この機構は、貿易や政策の調整などのように、多くの実務連携を介して機能する可能性がある。

貿易は、複数の国で実施される「交換」である。ある国における平価切下げは、その国の商品の競争力を高めると共に、他国の競争力を低下させる可能性がある。この効果は、その国の売上に直接的な影響をもたらすだけでは収まらない。競争力が十分に深刻となるほど低下する場合、為替レートの切り下げを期待する機運が高まる。それは国の通貨に対する攻撃に結び付く可能性がある。ある国の経済的なショック効果に対する対応が他の国に同様の政策に従うことを強いる可能性があるために、政策の調整は経済戦略を結び付ける可能性がある。貿易協定はこのわかり易い事例となるであろう。ある国の緩い金融政策が他の加盟国に貿易障壁の引き上げを強制することもあり得なくはない。

最後の第三の機構は、経済原則では説明が付かない純粋な「伝染」として分類されるショックである。伝播機構としての伝染という概念は、上述した二つの機構によって説明される市場の動きから区別されなければならない。この伝染概念を記述する理論は、既に均衡理論や心理学や政治経済学によって提供されている。

フォーブスとリゴボンも述べているように、これらの伝播理論は異なる機構に基づいているものの、共通して同じ重大な結論を提示している。金融危機の間の市場間連携は、比較的安定した期間の間のそれとは異なるのである。いずれの場合も、金融危機の間に国際的な伝播機構は強化される傾向がある。そしてそれは、それまでの実際の経済的な連携によって推進されている訳ではない。

問題解決策:伝播機構の理論

ショックの伝播に関する上述した三つの機構は、次の単純なモデルで表現することができる。

$$x_{i, t} = \alpha_i + \beta_iX_i + \gamma_ia_t + \epsilon_{i,t} \tag{1}$$

ここで、$$x_{i, t}$$は国iの株価を表す。$$X_i$$はi以外の国々における株価のベクトルを表す。$$a_t$$は集計変数で、これは全ての国に影響を与える。$$\epsilon_{i, t}$$は特異なショック(an idiosyncratic shock)を意味し、他の如何なる総体的なショックからも独立していると想定される。

第一の機構において、ショックは集計変数によって測定される。そして各国iにおけるこれらのショックの直接的な影響は、ベクトル$$\gamma_{i}$$によって把握される。第二の機構においては、国固有のショックは$$X_i$$によって測定される。これは国i以外の株価の変異を表すためである。このショックの他国の経済原則に対する影響はベクトル$$\beta_i$$によって把握される。第三の機構では、伝染のいずれの形式も市場間の連携の変異を包含するため、伝染は形式的に$$\beta_i$$や$$\gamma_i$$の変異として把握される。

このモデルの一つの問題は、内生性(endogeneity)である。つまりこのモデルでは、説明変数と誤差項との間に相関が生じてしまうのである。例えば、国iの経済原則と株価が国jに影響を与えるだけではなく、国jにおける経済原則と株価が国iに影響を与えてしまう。二つの国の場合に限れば、この問題は即座に把握できる。二つの国における株価をそれぞれ$$x_t, y_t$$とした場合、これらの株価を規定する構造的な形式は次のように記述できる。

$$x_t = \alpha_x + \beta_xy_t + \gamma_xa_t + \epsilon_x \tag{2}$$
$$y_t = \alpha_y + \beta_yx_t + \gamma_ya_t + \epsilon_y \tag{3}$$

ここで、$$a_t$$は上式によって定義される幾つかのショックである。$$\epsilon_x, \epsilon_y$$は、特異で相互依存的な国固有のショックである。この構造的な形式を推定するためには、パラメタを特定するための外因性の事象を発見することが不可欠となる。例えばある国の崩壊(one country’s collapse)のように、マスメディアのニュースによって高頻度に情報が提供される場合ならば、そこに外因性の事象を見出すのは困難ではない。しかしながら多くの場合、この事象の発見は実行不可能である。何故なら、この探索は一方の方程式のみに影響を与えている事象を発見することに依存するためだ。言い換えれば、$$\beta_x$$を特定するためには、$$\epsilon_y = 0 \ and \ \epsilon_x \neq 0$$となるような事象を発見しなければならないのである。

しかし伝染の検証が不可能である訳ではない。後述する簡略化された定式を利用する代替案はある。それは期間中のパラメタ推定値の有意な変化に関する試験を可能にする。実際、市場間の連携が経時的に変異しない場合、式(1)は期間を通じて一定となるはずだ。分析対象とする全期間と市場の混乱の期間が短い場合に係数を強制的に等しくすることで式(1)を推定するなら、市場の混乱の期間中、実際の係数の値の変化は分散の変化として反映される。統計的に言えば、共分散行列にしたがってこの混乱の期間中に分散共分散行列が大きく変化した場合には、市場間の連携もまた変化したと推論できる。

この統計的な方法の欠点となるのは、式(1)の実際のパラメタを正確に計算することが不可能であるために、様々な実際上ん伝播機構の強度(strength)を推定できないということにある。一方この方法の利点は、伝染の有無の検証において、実現困難あるいは不可能な識別の前提を設定する必要が無いことである。

市場間相関の偏り

株式市場の伝染に関する伝統的な実証的検証では、様々な方法論と手順が使用されている。こうした検証の基礎となるのは、未調整の相関係数である。フォーブスとリゴボンが詳解するように、この未調整の相関係数には偏りが生じている。この偏りは、特に検証の主題となる株式市場の混乱の間に増大する。

xとyをそれぞれ異なる市場における株式市場の収益の確率変数とする。これらの収益の関連は下記の定式に従う。

$$y_t = \alpha + \beta x_t + \epsilon_t \tag{4}$$

ここで、$$E[\epsilon_t] = 0, \ E[\epsilon_t^2] < \infty, \ E[x_t \epsilon_t ] = 0$$となる。残差の分布については、これ以上の仮定を置く必要は無い。また$$\mid\beta\mid > 1$$となる。

次に、データのサンプルを二つの集合(l)と(h)に分割し、$$x_t$$の分散が(l)の場合に低く、(h)の場合に高くなるように調整する。これらの集合の差異は、安定期と混乱の時代の差異に対応する。$$E[x_t \epsilon_t ] = 0$$であるため、式(4)の最小二乗回帰推定は双方の集合において一貫性があり効率的である。また、$$\beta^h = \beta^l$$である。集合における分散の差異から、各集合の標準偏差は$$\sigma_{xx}^h > \sigma_{xx}^l$$となる。故に$$\beta^h = \frac{\sigma_{xy}^h}{\sigma_{xx}^h} = \frac{\sigma_{xy}^l}{\sigma_{xx}^l} = \beta^l \tag{5}$$である。このことが暗示しているのは、$$\sigma_{xy}^h > \sigma_{xy}^l$$である。言い換えれば、市場間分散は第二の集合よりも高いということである。そして、第一の集合から市場間の共分散の増加は、xの分散の増加に正比例する。結局、式(4)より、yの分散は$$\sigma_{yy} = \beta^2\sigma_{xx} + \sigma_{ee}$$となる。残差の分散は一定で、かつ$$\mid\beta\mid < 1$$であるため、集合間のyの分散の増加は、xの分散の増加に比例した値よりも小さくなる。したがって、$$\left(\frac{\sigma_{xx}}{\sigma_{yy}}\right)^h > \left(\frac{\sigma_{xx}}{\sigma_{yy}} \right)^l \tag{6}$$最後に、相関係数の標準的な定義に(5)を代入すると、$$\rho = \frac{\sigma_{xy}}{\sigma_{x}\sigma_{y}} = \beta\frac{\sigma_x}{\sigma_y}$$となる。そして、(6)と組み合わせると、この定式は$$\rho^h > \rho^l$$を指し示す。

結果的に、xとyの間の推定される相関は、たとえxとyの間の実際上の相関が変化していないとしても、xの分散が増加する時に増加することになる。言い換えれば、この未調整の相関係数は、xの分散を条件としている。ここでのバイアスは、定量化することができる。$$1 + \sigma \equiv \frac{\sigma_{xx}^h}{\sigma_{xx}^l}$$とするなら、

$$\sigma_{yy}^h = \beta^2\sigma_{xx}^h + \sigma_{ee}$$
$$= \beta^2 (1 + \sigma)\sigma_{xx}^l + \sigma_{ee}$$
$$= (\beta^2\sigma_{xx}^l + \sigma_{ee}) + \sigma\beta^2\sigma_{xx}^l$$
$$= \sigma_{yy}^l + \sigma\beta^2\sigma_{xx}^l$$
$$= \sigma_{yy}^l\left(1 + \sigma\beta^2\frac{\sigma_{xx}^l}{\sigma_{yy}^l}\right)$$

となり、これは以下と組み合わせられる。

$$\rho = \frac{\sigma_{yx}}{\sigma_{x}\sigma_{y}} = \beta\frac{\sigma_x}{\sigma_y}$$

したがって、$$\sigma_{yy}^h = \sigma_{yy}^l(1 + \sigma [ \rho^l ]^2)$$

$$\rho^h = \frac{\sigma_{xy}^h}{\sigma_{x}^h\sigma_{y}^h}$$
$$= \frac{(1 + \sigma)\sigma_{xy}^l}{(1 + \sigma)^{\frac{1}{2}}\sigma_{x}^l(1 + \sigma [ \rho^l ]^2)^{\frac{1}{2}}\sigma_y^l}$$
$$= \rho^l\sqrt{\frac{1 + \sigma}{1 + \sigma [ \rho^l ]^2}}$$

故に相関係数は増加するσの関数である。

$$\rho_t^u = \rho_t \sqrt{\frac{1 + \sigma_l}{1 + \sigma_t \rho^2_t}} \tag{7}$$と記述する場合、$$\rho_t^u$$は未調整あるいは条件付けられた相関係数を表す。$$\rho_t$$は実際上の無条件な相関係数である。そして$$\sigma_t$$は$$x_t$$の分散における相対的な増加を表す。すなわち、

$$\sigma_t \equiv \frac{\sigma_{xx}^h}{\sigma_{xx}^l} – 1$$

式(7)が意味しているのは、σにおいて増加する相関係数である。したがって、xの市場における価格変動の増大する期間、市場yとxの間の推定される相関は、実際上の相関に比して高まることになる。結果として、市場が混乱した状態になっている時、推定される相関係数は上方に偏ることになる。それぞれの市場はショックを受けた後からより価格変動を高めるために、このことは市場間相関が危機の後に増加することについての誤認を広めてしまう可能性がある。この偏りから我々は、「伝染」を発見することが可能になる。

尤も、この偏りを調整することは容易である。式(7)を単純に操作すると、以下のように、無条件相関を導き出すことができる。

$$\rho = \frac{\rho_t^u}{\sqrt{1 + \sigma_t [ 1 – ( \rho_t^u)-2 ]}} \tag{8}$$

派生問題:金融市場の「過剰な相互依存」

以上のように、伝染を調査する大多数の検証は、市場間相関がショックの後に増加しているか否かに着目している。だがこの分析の主題となる相関係数は、市場の混乱期には上方に偏っている。たとえ実際の相関が比較的一定のままであったとしても、推定される相関係数は増大する。この相関係数の増大に気付かずにいれば、本来伝染が存在しないにも拘わらず、伝染が存在しているという誤った結論をもたらす危険がある。

株式市場間の伝染を検証する場合、市場の動きを正確に測定することが非常に重要となる。株式市場の価格変動の変異を補正するために相関係数を調整すると、株式市場間の相関の推定に影響を与えるばかりか、株式市場の伝染の推定値を大幅に減少させることが可能になる。そして、これらの調整された相関係数が伝染の標準的な検証に適用されると、1987年の米国株式市場の暴落、1994年のメキシコのペソ崩壊、そして1997年の東アジア危機には、伝染の痕跡は見当たらなくなる。伝染とは、ショックを受けた各市場における市場間相関の有意な増加を意味する。これらの市場間の連携は、伝染ではなく、相互依存なのである。

フォーブスとリゴボンの検証結果は、株式市場の動きに関する派生問題を提示している。それは、金融危機の際に、ショックの波及が如何にして可能になるのかである。この問題設定の下で、国際的な伝播機構の理論を再記述していかなければならない。フォーブスとリゴボンが導入した伝染と相互依存の区別が言い表しているのは、比較的安定した期間や機器の時期に、各株式市場が何故高度に統合された状態で「共運動」しているのかに焦点を当てるべきであるということである。

言い換えれば、何故金融危機の時期に一部の国々がそれほど脆弱なのかではなく、何故他の国々の動きに対して常にそれほど脆弱なのかを問わなければならない。そうした規模、構造、地理的な場所が異なる多くの市場で、一般にこうした高度な共運動が見受けられるのは何故なのかは、謎に満ちた問題である。

これら多種多様な市場は、貿易や他の経済原則によって結合されている。この結合が、そうした高度な共運動を伴わせている可能性もある。あるいはそれ以前の問題として、世界のあらゆる国の株式市場の間において、既に「過剰な相互依存(excess interdependence)」と呼ばれる関連が構成されている可能性も否定できない。

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